師走のある日

「お元気でお過ごしでしょ〜
 この時期になると、貴女様に煮て頂いた黒豆を思い出します。
 良いお年をお迎え下さい。お手隙にでもお元気な声をお聞かせ下さい。
 0566-8☆−6☆6☆・080−☆☆☆☆-0820 ○○さえ○」


 ↑メモ書きを顧客のA子さん宅に<検針票>と共に入れた。

ひそかに早く静かに・・そんなフレーズを頭に検針業務も26年目になった。
好きな仕事である。長い間仕事出来たことが嬉しい。来春から他の会社へ
委託が本決まりで私の仕事は消える。

毎月一回訪れる事がきっかけで話する・気になる友人のつもりでいた。
ところがこの数年その女性は<心の病気>らしい。何年会ってないだろう。
次は声かけてみよう〜思いながら半年過ぎた。

「○○さん〜」玄関のドアホン押しながら呼んでみた。
ラジオの音したのに返事はない。ならば・・・メモ入れした。

特別返事がなくて良い。電話もなくて良い。
おだやかなお正月を迎えて欲しい。

師走の検針は心急ぐ。とうとう最後の12月の検針である。
なんだか感無量で本日担当分のすべてを終えた。
八ヶ岳キャロット(コブトリ執事)